急速に成長しているギグエコノミー*、仕事のタスクやプロセスがAIで自動化されるにつれて、一部のフリーランスの仕事が時代遅れになるのでは?と危惧されています。
*ギグエコノミーとは、インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済形態のこと

人工知能(AI)は、私たちが日々意識しているものではないかもしれませんが、これまでの10年間で徐々にモバイルデバイスやウェブサイト、オンラインサービスなどを動かすバックエンドシステムとして、私たちが日々仕事で使用するソフトウェアなどに統合されています。
この記事では、Conyacのようなプラットフォームを使って仕事をしているフリーランサーの職種のいくつかが、AIの発達による影響をどれくらい受けているか、見てみます。
AI化が進んでいるフリーランサーの職種
翻訳
AI機械翻訳(MT)のおかげで、これまでの10年で品質が劇的に向上しました。 MTは、取扱説明書や法的文書などの分野においては最高のパフォーマンスを発揮します。ただし、最終結果の確認には、専門知識のある“人による校正”が不可欠です。
MTは、文脈や文化、表現の理解を必要とする分野の翻訳にはまだ不向きで、まだ人による翻訳が必要とされています。しかしながら、MTが可能とする仕事の幅はますます広がっており、より生産性も高まっていると言えるでしょう。
文字起こし
これはAIが最終的に人間に取って代わる分野です。今日の最先端のAIシステムがいかに優れているかを知りたい場合は、YouTubeにアクセスして、字幕が手動で追加されていないビデオを見つけてください。ほとんどの場合、YouTubeのAIが生成したものしか見ることはできません。
システムは依然として、背景雑音や発音不良、方言など、人間の方がより簡単に処理することができる他の要因に苦戦しています。自動生成された字幕などを確認して編集するには、依然として人による確認が必要です。さらに、あまり一般的でない言語や方言はまだ十分に対応できていません。
英語などの最も一般的に使用されている言語では、この差は急速に縮小しています。そしてそれほど遠くない未来、書き起こしを人間が行うという仕事自体が時代遅れになってしまうでしょう。
校正、編集、および書き換え
この10年間で、AIを基にした編集ツールは、文法やスタイル、トーンの校閲機能が飛躍的に改善されています。現在のところアメリカ英語で最もよく機能していますが、他の英語の方言や異なる言語にも同様の技術が使われています。
ただしこれらの編集ツールは、あなた自身が選択した言語の書き手として、ある程度のスキルがなければ役に立ちません。たとえば、英語を母国語としない英語を話す人は、多くの場合、ツールの提案が適切かどうかを判断できません。さらに、文法やスペルの誤りが訂正されたとしても、文書自体が不十分なものかもしれません。
したがって当面の間、これらのツールは、人間の校正者または編集者の能力を増強するだけのものとなるでしょう。
写真の編集、修復
フリーランサーに外注しやすい仕事の一つとして、写真の編集と修復が挙げられます。 AIは、画像編集ソフトに素晴らしい機能を加えており、最新の技術開発では、さらなる進歩を遂げています。また、革新的なアプリ開発者は、子供でも簡単に使用できるアプリの形でこれらの機能を人々に提供しています。
しかしながら人による調整や最終確認はまだ必要とされています。したがって、文書の編集と同様に、これらのツールは視覚的な美的感覚を高度に発達させた人の能力を向上させ続けるだけであると言えます。オーディオやビデオコンテンツの編集や修復においても、同様の進歩が見込まれます。
私たちにできること
AIの進歩とは裏腹に、私たち人間のスキルが時代遅れで仕事の確保ができなくなってしまうことは、誰も望んではいません。フリーランサーが生き残るためだけでなく、新たな雇用を創出していくにはどうすればいいでしょうか。
適応力を高める:マインドセットは成功に不可欠です。社会は常に変化しており、それは今までより速く動き続けていることを理解してください。市場が望むものに適応し、調整することを継続的に模索してください。常に最新情報を入手する必要はありませんが、仕事とクライアントの期待の両方を変えるような開発には常に注意を払う必要があります。
波に乗る:短期的には、新しいAI搭載のツールなどで市場にいち早く足を踏み入れることができ、短期間でより多くの収益を得ることができるかもしれませんが、中長期的には、このツールが主流になるにつれて、競合他社とクライアントの両方がそれに気付くようになるでしょう。関連性を維持するためにも、ポジショニングとサービスの提供を変更し続ける必要があります。
多様化に対応する:Conyacなどのサイトを介して、収入のために1つのサービスだけを頼るのはリスクがあるかもしれません。性質の異なる、少なくとも2つ以上のスキルを持ってください。
付加価値をつける:あなたの競争相手よりも際立つ、より価値がある方法を絶えず探し続けるといいでしょう。
人間ならではのスキルを磨く:AIが苦手な分野がまだまだあります。特に主観的判断、創造性、文脈の理解、知識、そして人生経験を必要とする分野などが挙げられます。人間ならではの能力を必要とする分野でのキャリア構築に注力してください。
まとめ
技術進化や産業の変化に伴い、私たちの仕事は大きく変わりましたが、より多くの仕事も生み出してきました。 AIが発達しても同じことが起こります。犠牲になるのではなく、これらの変化から利益を得る方法を見つけるのは私たちの責任です。
結局のところ、クライアントは自分のタスクを手動で行うのか、AIツールを駆使するのかなどは関係なく、時間通りに、そして可能な限り低コストで適切に完了させたいと考えています。しかし、これらのツールが簡単に利用できるようになると、クライアントは外注するのをやめてしまうでしょう。 そうした時に、AIなどの自動化されたシステムには叶わないような分野で付加価値を提供できるスキルを持つと、唯一無二のフリーランサーとして位置づけられ、活躍できるでしょう。変わりゆく社会に向けて対応していけるといいですね。
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