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海外書籍の翻訳:『起業家はどこで選択を誤るのか』が出来るまで(後編)

『海外書籍の翻訳:『起業家はどこで選択を誤るのか』が出来るまで(前編)(中編』を通し、一冊の本が店頭に並ぶまでの軌道を追ってきました。小川育男さんの連載後編では、書籍の顔となるタイトルと装丁に関して、実際に編集者やデザイナーのとやりとりを通し、本の形になるまでのフローについてお話いただきました。

タイトルと装丁

タイトルの検討は翻訳と並行して進めました。実際には、担当した編集者をはじめとして英治出版の方々との議論を経て決まっていったのですが、ここでは、タイトルを検討していったときに考えたことを中心に書いていきます。


英文のタイトルを日本語に直すのですから、これも翻訳の一種であるとは言えるでしょう。しかし、ほぼ1フレーズで、少なくとも本を手に取る気になってもらうことが必要ですから、本全体をどう解釈するのかという大きな問題とも捉えられます。それを踏まえて次のように考えました。


原題は、The Founder’s Dilemmas — Anticipating and Avoiding the Pitfalls That Can Sink a Startup です。直訳すると、『創業者のジレンマ — スタートアップが陥る落とし穴を予期し、回避する』とでもなるでしょうか。


創業者というのは日本語ではやや古風な響きがある(そのため本文中も「ファウンダー」で統一してます)ので、起業家と解釈し、『起業家のジレンマ』も候補にあがっていました。ただ、『起業家のジレンマ』だとちょっと内容が分かり難い。そもそも、The Founder’s Dilemmas は、ハーバード・ビジネススクールの起業家講座の名前でした。著者のワッサーマンが講義している講座です。ハーバード・ビジネススクールというと、あのマイケル・サンデルのような討議形式の授業が有名です。討議を前提にするのであれば、「ジレンマ」という呼称も良いのでしょうが、日本で手に取る方々はそんな前提はないですから、伝わらないんじゃないか。そんな懸念がありました。


また、実際に実物を見ていただくと分かりますが、結構厚いです。なので、手に取って中を読む気になってもらうためには、この本が何の本か、あるいは、これを読むと何が得られるのかをタイトルで訴求する必要があると考えました。いろいろな角度から考えて、最終的に落ち着いたのが『起業家はどこで選択を誤るのか』というタイトルです。このタイトルが中身を言い表せているかどうかは、ぜひ実際に読んで確認してみてください。

Photo by Headway on Unsplash

最後、装丁です。主には、表紙のデザインを決めます。編集者と話していて感心したのは、彼らが気にするのは書店で他の本と並んだときの見栄えである、ということでした。それまでは、本単体としてタイトルと同様中身のイメージを現している装丁であれば良いだろうと思っていたのですが、書店でどう置かれるのか、それがどうお客さんの目に止まるのかということを意識すべきという発想は私にとっては発見でした。


装丁も流行があるそうで、最近は白地の本が多いらしいです。確かに、言われてみると書店には白地にタイトルの文字が書かれているような本が多く並んでいる気がします。それらを踏まえて、デザイナーに出していただいた10くらいの案の中から、黄色地のものを選びました。色もそうですが、少々長いタイトルがしっかり目に入るように大きめのフォントで、『どこで』ということを印象づけるイラスト入りのものになっています。


これらの流れを振り返ると、やはり紙の書籍を、本というモノを作っているんだなと強く感じました。印刷所に出してしまえば、後戻りは困難になりますし、モノとして置かれることを意識して考えることもいろいろある。きっと、電子書籍を前提に作るとすれば、また違ったステップになるのかもしれません。いまは、紙の書籍がまずあって、それを電子化するという流れですが、最初から電子書籍を作るのであれば、いろいろ変わってくることになるはずです。が、それは別の話。


さて、これでひととおりのステップを踏みました。この後、原稿は印刷所に送られ、印刷され、全国の書店に並ぶことになります。どこかで見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。


一冊の本を翻訳して

スカイライトコンサルティング株式会社 小川育男さん

翻訳書を作るという一連の仕事を終えて感じたのは、やはり翻訳というのは言葉の翻訳だけじゃないなということでした。英語を日本語に置き換えるという作業ではなく、文化や考え方をどう伝わる表現に変換していくか、そういった作業なんだと思います。そういった意味で、とてもクリエイティブだと感じましたし、自分で文章を書く以上の難しさも感じられました。特に今回のような翻訳書は原著者の書かれた表現を出来る限り忠実に誠実に翻訳する必要があります。その前提でいかに読みやすい日本語にするか。これが最も難しく、また楽しいチャレンジでした。


『起業家はどこで選択を誤るのか』の原著者の謝辞は「書籍の執筆はチームスポーツである」という文章から始まりますが、翻訳もまたチームスポーツです。編集者をはじめとしていろいろな人の協力、一緒に本を作るという直接的な協力だけでなく、経験を共にしたというような間接的な協力を含めて、たくさんの人の協力で翻訳書が出来上がったのだと感じます。今回の翻訳のきっかけは原書の内容を日本の起業家にも伝えたいという想いでしたが、終わってみて、翻訳という仕事自体がかなり好きになった気がします。


Written by 小川育男

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